3. 管理職試験を実際に受けてみてわかったこと。

ビジネスの知見

あなたのキャリア設計図は?

『転職と副業のかけ算』(moto,扶桑社,2019)には、「自分自身の市場価値を上げる方法」として、「3つのキャリア設計図」が挙げられています。

 

①出世によるキャリア

②職種のスペシャリストになるキャリア

③業界のスペシャリストになるキャリア

 

これを学校社会に当てはめて考えてみます。

 

管理職の魅力とは?

「出世によるキャリア」は、教師にとっては管理職になることでしょう。管理職まで望まない場合は、たとえば指導主事になったり学年主任や分掌主任になったりすることが考えられますが、前者は管理職につながる道筋ですし、後者を「出世」とは言わないでしょう。となると、教師にとっての「出世」とは、やはり指導主事を含んだ管理職になることを指すのだと思います。

 

ところで、その「管理職」には、なり手がいません。

その仕事ぶりを見ていれば推して知るべしですが、どの学校においても、教頭職は激務です。誰よりも早く出勤し、誰よりも遅く教務室を後にする。常に雑務に追われている。一般教員の勤務内容や報告書等の督促と内容確認が途切れない。校内の多様な委員会のすべてに名を連ね、司会を務め、かじ取りを迫られる。保護者対応を中心とした外部折衝の窓口として動く。教師の問題行動の尻拭いをする。果ては、この上さらに数時間の授業を担当することも。倒れたり、悲鳴を上げたりしない方がおかしなくらいです。

 

昔と違い、多くの課題を抱える現在の学校において、教頭の裁量権は非常に小さいと言えます。「決定」するのではなく、「調整し、報告する」ことがすべてと言っていいでしょう。

 

管理職の合格者数が必要人数を割り込んだり、せっかく管理職試験に合格しても、一般教諭に降格する「希望降任制度」の利用者は少なくありません。基本的に、教頭職を務めなければ校長にはなれないので、教頭を志す人間が減れば、管理職自体の絶対数は減る一方です。

 

管理職試験の場で

実は私自身、40歳の時に管理職試験を受けたことがあります。「教頭・指導主事試験」と言われるものでした。当時は教育センターで心理相談業務を担当したいという夢があり、管理職試験に合格する必要があったのです。しかし、午後の面接試験は散々の出来でした。3対1の個人面接で、5つの質問を受けましたが、1つとして答えることができない始末です。帰り道、「ああ、これで終わったな。」と半ば残念な、半ばさっぱりした思いで帰宅したことを覚えています。

 

結果はもちろん、不合格。あれから11年が経っていますが、その間、学校現場をずっと見てきて、「あの時、合格しなくてよかった」と、心から思います。負け惜しみと受け取られることを十分承知の上ですが(笑)。

 

不合格を良しとする理由の1つは、事実上拒否権のない異動を伴うからです。今さらといった感じですが、「時間的空間的経済的制約をできる限り受けずに働く」ことを望む私にとって、広大な勤務地候補を転々とすることは想像できません。「念願の家を建てても、そこに住むのは定年退職後」というのは、笑えません。

 

理由の2つ目は、現場が非常に忙しく、しかも自由度が以前に比べて低くなっている点です。教頭職は、一般教員の1,5倍は給料をもらわないとやっていられないというのが傍目の印象です。

 

そして、3つめの理由。今の私にとっては、これが非常に大きな理由になっています。それは、

「ほとんど価値がないと思われることを覚えておかなければならないこと」が、教頭職にとっては必須であることに気づいたからです。

 

年休計算ができない私

40歳で受けた管理職試験。面接の最後の問いは、「年休」の計算問題でした。教師の勤務時間は7時間45分。昼休みをまたいで年休を取ったりすると、それが何時間分に相当するのか、私にはわかりません。過去にその時々の勤務先で何回か教えてもらっていますが、その都度、忘れることにしています。「覚える必要のないことは、その都度わかる人に聞けばいい」というのが私のスタンスで、現在、その考えはますます強くなっています(笑)。

 

面接官サイドとしては、サービス問題のつもりだったのかもしれません。「5つの問いのうち4つ答えられないこの男を、どう救ってやろうか」くらいの気持ちがあったのかどうか、それはわかりません。しかし私は彼らの意に反して、「こんな簡単な問題」に答えられなかった。だから落ちたわけです。

 

今、わたしはつくづくこう思います。

「教頭を志す人間は、年休の計算くらいは即答できるのが普通だろう。だったら私はなれないし、ならなくていい。」

 

教頭職の大きな仕事の1つとして、一般教諭の管理があります。出張・年休の手続きが適正かどうか、期限までに報告書が提出されているかどうか、同僚や生徒との関係性はどうか。これらは確かに大切なことですが、「私はそれをチェックすることに時間を費やしたくはない」ことが、はっきりと自覚できました。やりたい業務はあった。その業務に就くために必要な試験があった。私はその試験に落ちた。そして、自分の心に気づいた。そういうことです。

 

あなたは自分のことをどれだけ知っていますか?

自分自身の市場価値を上げる方法。その1つが「出世によるキャリア」です。私には合いませんでしたが、あなたはどうですか? チャレンジしてもしなくても、大切な「気づき」が得られるのであれば構わないと思います。あなたが何を好きで、何を嫌いで、何に価値を置き、何に価値を置かないかということがわかるだけでも、それは収穫になるはずです。

 

②職種のスペシャリストになるキャリア、

③業界のスペシャリストになるキャリア

については、それぞれ「上司の評価より市場価値」2と3の記事で触れたいと思います。

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